光老化とスキンケア(紫外線対策) |
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1.光老化とは![]() |
紫外線は直接肌にダメージを与える上、肌を酸化(サビ)させるフリーラジカル(活性酸素)を発生させ皮膚細胞DNAを傷つけ破壊します。受けたダメージは少しずつ蓄積し、肌の老化現象となって後々現れます。すなわちメラニン色素が増加し、皮膚はくすみ始め、シミが発生したり、濃くなったりします。また皮膚の奥深くでは、皮膚の張りに大きな役割を果たしているエラスチンやコラーゲンが破壊・変性されて、張りがなくなったり、しわが増えたりもします。 これを光老化といい、自然の老化とは区別されています。どうしようもない、遺伝子できまった老化はたった20%です。この老化はスキンケアではどうしようもありません。残りの80%の老化は光老化、紫外線による老化です。つまり美容的に気になるシミやしわの80%は、実はこの光老化の賜物であるということです。 光老化の兆候は、毎日の紫外線暴露の累積の結果おこります。光老化は乳児期から始まり一生を通して続きます。皮膚へのダメージは、10〜40年かけてゆっくりと発現します。光老化はだいたい10代のころから皮膚の内部で進行が始まり、20代で臨床的に所見が得られ、30代になるとほぼ誰にでも現れます。1920年代までは人類は積極的な日焼けはさけられてきました。しかし皮肉なもので女性をコルセットから解放したココシャネルが小麦色に焼けた肌に引き立てられる真っ白なドレスを発表しました。それ以降積極的な日焼けが流行するようになり、肌の老化がスピードアップされたのです。 でもうれしいことに今まで皮膚の老化は予防不可能な非可逆的な変化と思われていましたが、最近光老化は制御可能な皮膚の老化としてクローズアップされてきているのです。 |
2.皮膚の構造 表皮は一番下の層の細胞ケラチノサイトが分裂成長し、上の方へ移動していきます。子供では正常なターンオーバーで4週間で上までいきますが、年とともにこれがおそくなります。最上層に板状の角質細胞が積み重なっていますが、この細胞はすでに死んだ細胞で、やがて表層から少しずつはがれ落ちていきます。脱落するまでは、皮脂や汗とともに膜を作り、体を守る重要なスキンバリアとしての働きをします。 |
3.光老化の兆候 1)ざらざらとした皮膚 バリア層におこるダメージや角質肥厚によって乾燥化して、ざらざらするようになります。 2)シワ、たるみ 真皮には表皮を支えるコラーゲンとエラスチンが存在し、そのコラーゲンやエラスチンをつくる繊維芽細胞があります。紫外線があたるとこの線維芽細胞のDNAが傷つけられコラーゲンやエラスチンの量が減ったり、質が悪くなって皮膚は正常な張りがなくなり結果としてシワやたるみができていきます。 3)弾性繊維症 首のところによく見られる小さな塊のこと。不良のエラスチンのかたまり。エラスチンは紫外線によって破壊されると球状に凝集します。 4)くすみ 血流が減り、青白い肌あるいは黄色い肌の原因となります。 5)シミ シミはなぜできるか。メラニンは悪者のように思われていますが、実は紫外線があたると、細胞の核を紫外線から傘のように守るたいせつな働きをします。そのメラニンを作る細胞がメラノサイトです。ところが、紫外線があたりすぎると、メラノサイトのDNAがダメージを受け、メラノサイトの暴走がおこり、紫外線があたっていないのにメラニンをどんどん作ってしまい、シミになります。 6)黒ニキビ 長期的かつ激しい太陽によるダメージを受けると、顔の脂分の多いエリア、すなわち額や鼻に黒ニキビ(black heads)があわられます。 7)日光角化症 表皮の角化細胞が紫外線、とくに中波長紫外線によって核DNAを損傷され、遺伝子変異が起こり角化症が現れます。皮膚がんの前癌状態といえます。もっとも光老化でおそろしいのは皮膚がんであります。すでに南半球の白人においては皮膚がんの発生率が急増しており、日本でもすでに母子手帳から日光浴の文字が消えています。 |
※光老化のダメージ区分![]() |